2010年06月08日

共感の雨

「私はね、千の歌を作ったの」

「どうして千も作ったの?」

「退屈だったからよ」

「よほど退屈だったんだね」

「眠れなかったからよ」

「よほど眠れなかったんだね」

「忙しかったからよ」

「よほど忙しかったんだね」

「退屈で、忙しくて、とても眠れなかったからよ」

「よほど退屈で、よほど忙しくて、よほど眠れなかったんだね、とてもとても……」

「千の歌はしあわせにつながっていると思っていたけれどね、
糞みたいな歌って言われたの」

「なに糞と思って頑張るのはどうだい?」

「でもね、コウちゃん。私は共感してしまったの。
糞みたいに、ほとんど共感してしまったのよ」

ツムリは、共感で潤んだ瞳を作ってトリの方を見上げた。
けれども、トリは飛び立ってしまった。糞の雨をボロボロと降らせながら……。
ツムリは、また殻の中に閉じこもってしまう。


posted by 望光憂輔 at 23:38| Comment(0) | コウとツムリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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