2010年09月04日

あふれる

ここは かなしみでいっぱいです

けれども きっと 同じくらいに

よろこび

いたわり

やさしさ

しあわせ



などで あふれているのです

posted by 望光憂輔 at 21:33| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜の芝

 黒く輝く芝の上で、ボールを転がして駆け回った。どこまでも無人の芝の上で、3回ほど転んだ。視界が悪いため、加速しすぎたため、急激に変化したため、特に左足で外に持ち出す瞬間に転んだ。芝の上だったので転んでも大丈夫だった。歩道をジョギングする人に見られてしまったかもしれないが、僕はすぐに立ち直ったので、何の心配もいらない。この公園の向こうには図書館もあるし、おいしいケーキもある。どっちにしろ僕はいつも台詞と地の文を噛み砕きながら、合間でカレーを食べているような暮らしなのだから、いいのだ。ここにはすべてが揃っています。お父さん、最後においしいと思って食べたのはいつ?

posted by 望光憂輔 at 20:22| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ひとり

 謎の牢獄の中に立たされたまま、延々と続く授業。僕はもう逃げ出したかったけれど、僕が行くと先生は一人になってしまう。僕は動かない。チャイムが鳴るまで動かない。布団の下で足がしきりに動いた。夢の中でどこかに行っているのか。

ひろしー
いちろー

 カーテンの向こうから呻き声が聴こえる。

 トイレに連れて行くことも、ご飯を食べさせることもできなくなった。みんな看護師さんがしてくれる。私のできることがなくなった。
「私がいても、何もできることがなくなった」
 母は寂しげに言ったのだった。そうして母は、家に帰るようになったのだった。

 面会時間の終わりを知らせる院内放送が流れた。チャイムは鳴らないけれど、僕は教室を出て行くことに決めた。

posted by 望光憂輔 at 17:56| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

長雨

6月の長い雨です。
軒先からぽつりぽつり雨が落ちて、
父の体内に入ってゆきます。
自然と科学の実験です。
雀の声が聴こえてきます。
僕は見ています。
雨が落ちる様を、ずっと見ています。
透明な空から緑色の屋根を伝い、
もの凄い速さで父の体内に、雨は落ちていきます。
長い雨です。
僕は音楽室で歌うことさえ拒みました。
自分の基地の中で本を読んで眠りました。
もう父は無理に僕を動かそうとしませんでした。
いつまでもただじっとして動かなかったのです。
ただひたすら僕がどこかへ向かうまで待っていたのです。
誰よりも深く僕は眠りました。
長い雨です。
空はまだ、たくさんの雨を抱えているようです。
父の名前が書いてあります。

posted by 望光憂輔 at 15:11| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2口、3口

「寝てます」
「後で介助にきます」

今日の夕ご飯
全粥 玉子焼き ブロッコリー
肉じゃが オレンジ 麦茶味のテルミール

「目を開けて! 目を開けないとご飯食べれないよ!」
 粥を2口、3口食べただけで、点滴に切り替えられた。

「今日は終わりにしましょう」
 そう言って膳は下げられてしまった。
 食べられないものばかり持ってきて、食べられないと言って持っていく。こんなことを繰り返していては、父は弱っていくばかりではないか。

posted by 望光憂輔 at 00:36| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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