2010年10月06日

埋葬

 段取りについて話し合いが持たれる最中、軒下に蜂の巣が発見されてちょっとした騒ぎになった。すぐ取り除く派とそっとしておく派に分かれて論争が交わされる。小さいからさっとやればすぐにどうにかなるようなことを言う者がいる。小さいからといって侮ると恐ろしいことになる。今は何も悪さをしないのだから、そっとしておくのが正しいと言う者がいる。その間、父はずっと亡くなっていた。
「ほら出たぞ!」
「今、二つそこから出た!」
 町内会の誰かが言った。
 父は、静かに眠りについていた。こんなに静かな父を見るのは久しぶりだ。イビキ一つかかないのだ。僕は、町内会の人々とは他人行儀な距離を保ちながら、父の側についていた。
「戸を開けたら、すぐ閉めなきゃ駄目だぞ」
 攻撃派が、押し切る形で論争は収束した。選手代表の者が、用心を着込んだ上で、果敢に蜂の巣に立ち向かっていく。戦いは一瞬で終わった。蜂の巣は、用心深く庭の土の中に埋葬された。

ラベル:小説
posted by 望光憂輔 at 02:13| はやかったね | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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