2010年10月07日

しっかりしなさい

 段取りについてややこしい話が繰り返される最中、気になる動物の話が持ち上がった。
「あれは何だったかね?」
 町内会の人が言った。
「アライグマ」
「違うな」
 アライグマではなかった。気になるものというのは、いつも前触れなくやってくるものだし、それがさほど重要なことでないにしても、気になる以上気になるものだし、答えがはっきりしない間は気になってしまうものだ。それは、その時携わるそれ以外のことの何もかもに支障を来たす。そういう時には、解決が急がれるべきだ。それでも解決できない場合、その内忘れてしまうだろう。重要なことでなかった場合、忘れてしまって一向に構わない。それも一つの解決なのだから。静かなものだ。父は、何とも言わずに眠っているのだから。
「タヌキ」
「いや、違う」
 タヌキではなかった。町内会の人が胡坐を組んで意見を出し合っている。けれども、僕は町内会の人とは随分と距離を取って、父の側についていたのだ。ずっと父の傍で父と同じように静かにしていたのだった。
「ムジナだ!」
「そーだ! ムジナだ!」
「おーっ、ムジナ、ムジナ」
 ついにムジナが発見され、場に一体感が生まれる。
「花は一段か、二段か」
「二万か、三万か」
「四人連名でいいのかね」
「はあー、お父さんがいたらねえ」
 母が言った。
 それは職員室でお母さんを探すようなものだった。
「あんた、しっかりしなさいよ」
 ルミ叔母さんが言った。式とは、しっかりするためにやるのだ。


posted by 望光憂輔 at 20:21| はやかったね | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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