2011年01月25日

紅葉狩り

 ただ一人の駅長は、忙しく鋏をじょきじょきして切符を切っている。どこで切符を買えばいいのか迷っているが、訊ねるべき人は見当たらず、人々は、どこで手に入れたか知れない切符を手に、次々と駅長と鉄の握手を交わして、ホームへあるいは階段から別のホームへと魚のように流れていく。「紅葉狩りに行くのでしょう?」男は、歯をむき出しながら近寄ってきた。「ツアーなら、40円ですよ」どこから始まるのです? 僕は興味もないのに、ツアーの始まりについて訊ねていた。あんたは誰なんだ? 名乗らない男に対して、その問いかけができないままに。「それでキミは紅葉に対して、何の話をするのかちゃんと決めてきたかい?」


posted by 望光憂輔 at 01:32| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月22日

向こう側の猫

 この猫、ここにおいておこうよ。
「野菜がどうしても食べたいんだよ」硝子の向こうを、猫は見ていた。猫の視線の向こうで庭の野菜は、すねた顔をしていた。猫が手を合わせて空に祈ると雨が降ってきて、野菜の元気を取り戻した。赤の野菜、緑の野菜、紫の野菜、そして、猫と同じ色の野菜が雨上がりの朝の中で輝いていた。「野菜がどうしても食べたいんだよ」猫はずっと見つめていた。それから硝子の向こうに猫は消えた。すり抜けたように見えた。けれども、硝子戸が外れている。どうして音がしなかったのだろう? 姉と僕は顔を見合わせた。ランボーな猫は、飼えないね。猫は、背を向けながら、硝子の向こうにいた。僕は、その意地らしい背中をしばらく見つめて動けなかった。

posted by 望光憂輔 at 21:38| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月21日

ルーニー

「今のシュートは、ルーニーらしいですね」
「早川さんですよ」
「かわしてからシュートまでが速い。流石です」
「早川さんですけどね」
「ルーニー奪った!
そのままゴール前に駆け上がる。キーパーと一対一だ。決めるか、ルーニー!」
「あれは、早川さんですよ」
「外した! ルーニー外した! ルーニーにしては珍しいシュートミスです」
「早川さんだから」
「頭を抱えるルーニー」
「早川さんです」
「ゴールキックから再開です。
キーパーにプレッシャーをかけるルーニー」
「早川さんです」
「ルーニーまた奪った!」
「早川さんです」
「しかし、今度は奪い返された。
しかし、再び奪いに行く。奪いに行った! ルーニー!
ルーニー! 取った! 相手選手からボールを奪いました!」
「早川さんです」
「おっと、しかし、これはファールの判定です。
審判が、ルーニーを呼んでいます」
「早川さんです」
「待ってください。ルーニーは、既に一枚カードをもらっていますよ。
先ほど、ルーニーはイエロー一枚もらっていますよ」
「それは、早川さんです。これも早川さんだし」
「おっと、カードがレッドに変わります!
ルーニー退場だ! ルーニー選手退場です! これは大変なことになりました」
「早川さんです。
ルーニーがベンチ前でアップを始めました」

タグ:ルーニー
posted by 望光憂輔 at 19:10| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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