2011年01月22日

向こう側の猫

 この猫、ここにおいておこうよ。
「野菜がどうしても食べたいんだよ」硝子の向こうを、猫は見ていた。猫の視線の向こうで庭の野菜は、すねた顔をしていた。猫が手を合わせて空に祈ると雨が降ってきて、野菜の元気を取り戻した。赤の野菜、緑の野菜、紫の野菜、そして、猫と同じ色の野菜が雨上がりの朝の中で輝いていた。「野菜がどうしても食べたいんだよ」猫はずっと見つめていた。それから硝子の向こうに猫は消えた。すり抜けたように見えた。けれども、硝子戸が外れている。どうして音がしなかったのだろう? 姉と僕は顔を見合わせた。ランボーな猫は、飼えないね。猫は、背を向けながら、硝子の向こうにいた。僕は、その意地らしい背中をしばらく見つめて動けなかった。

posted by 望光憂輔 at 21:38| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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