2011年02月02日

残党

 鍋底のうどんの残党をすくう。すくってあげようとお玉を伸ばすと、うどんはすっと身をかわす。今度はこちらからと回り込んでお玉を伸ばすが、うどんはすっと身をかわしてしまう。俊敏に迫るほど向こうもより俊敏な反応で、こちらよりほんの一瞬速く動いて身をかわす。今度はあえてゆっくりと、悟られないように近づいて、最後の一瞬にすべてを賭ける。うどんは、お玉が触れそうになる距離にいても死んでいるように動かない。けれども、まさにすくおうとする瞬間、耳元に朝が舞い降りたように動き出すのだ。まるで、最初からすべてわかっているように、鍋の深いところで笑っているように見える。もう何時間も、うどんに遊ばれて、敗北感と空腹感で、僕は引き裂かれそうになっていた。その時、うどんに尾びれがついているのがわかり、今まで追いかけてきたものが、金魚にすぎなかったことに気がついた。次の瞬間、金魚は2つに分裂してしまった。

タグ:金魚
posted by 望光憂輔 at 02:13| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

クリスマスキャベツ

 焼き芋を買ってきてと姉は昔のドラマを見ながら言う。なんかあれだねと姉は言う。僕はまゆをかいている。埃がたくさん落ちてくる。まゆはシャンプーするもの? うん。知らないのという顔の家の人々。僕が風呂に行くと父がそそくさと出て行こうとする。まだゆっくりしてなよ。もういいんだよと父。オリーブオイル、コンディショナー、リンス20%インシャンプー、そうこれにしよう。
 焼いているのは芋ではなくキャベツだった。芋はなくなったけど、これもおいしいよとおじさんは言う。一つください。黒いところは焦げてしまったところだ。おじさんは、めくるめくる……。どんどんキャベツは小さくなってゆく。香ばしくてどきどきとする。

タグ:キャベツ
posted by 望光憂輔 at 02:29| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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