2011年05月23日

海鮮

 ラーメンとご飯が僕のために用意してあるのは、友達が勝手に頼んだからだ。見知らぬ人に囲まれる中で、僕は箸を取らなければならない。みんなが見守るテレビ映画の中、鮫が徐々に登場するようなテーマ曲が流れて、今にも鮫は登場しそうだったが、鮫はなかなか登場しない。ドロドロに濁った海には、イカ、タコ、人参、キャベツ、鶉の卵などが浮かんでいて、僕の箸を重くしている。友達は僕を待っている。スープを口に含むと温い。すっかり冷めて。味気なく、口の中を侵す。徐々に人々の期待の波は高まって、曲調も速まって、いよいよ奴は登場しそうだが、やはり奴は登場しない。ドロドロに濁った海には、イカ、豚、葱、木耳などが浮かんでいて、僕の箸を重くしている。友達は僕を待っている。スープを口に含むと温い。「うまい」そうだ。「うまいのだ」と言い聞かせて食べなければ、とても食べ切ることなんてできないのだ。みんなの声が聞こえる。「うまい」そうだ。いよいよ海面から怪物は顔を出して、鋭い眼の輝きを見せながら、巨大な口を開いて、一気にドロドロに濁ったチャンポンを呑み込んでしまうのか、と誰もが思いながらテレビを見ているけれど、なかなかそれは姿を現さないのだった。イカ、竹の子、白菜、なると、そして、種々のキノコで海は賑わい、また、繰り返し音楽が流れる。そのドロドロの海の中に、僕はもうすぐすべてをぶちまけるだろう。友達は椅子にもたれて僕の終わりを待っている。


ラベル:チャンポン
posted by 望光憂輔 at 21:38| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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