2011年06月06日

浮遊

 ビニール傘はお金と一緒と僕は言ったけど、意味のある言葉はすべて弾かれてしまう。それは呪文にふさわしくないからだ。それにしても僕は傘を間違えてしまったのか、強まった暴言に傘を広げると中から札束が落ちてきて、僕はキャラメルを買いに行くことにした。本当は僕の傘なら飴玉が入っていたのだ。僕はおみやげを手にして店へと帰って行ったけれど、出迎えたのは降格についての話だった。それならそれでもいいんだと僕は言った。あなたは他人の10倍の時給になっているからとマキが申し訳なさそうに言う。そして、店長は、もう切ってしまえと言っていると教えてくれた。僕を切って新しい水を入れるのか? 新しい風と店長は言っています。降格でいいよと僕は言った。そして、本当に切ると言うならもうそれでもいい。マキの眼を見て僕は言った。新しい職場でも探そう。週に何日でも働こう。
 階段を下りると、飴玉おばさんが長椅子に座って煙草を吸っていた。ねえ、僕は空中浮遊ができます。僕は浮かび上がって両腕を広げて見せた。写真を撮ってください、世間に広めてください。生活のことを考えて、僕はとうとう秘密の特技を使ってしまう。飴玉おばさんは、アングルを決めかねてなかなかシャッターを切れないでいるので、僕は疲弊していく。あのねえ、これは、腹筋にくるんですよ。僕は耐えられなくなってひっくり返った。逆立ち状になりながら、なんとか地に手を触れずに持ち堪えているが、マキが下りてきてわっと言った。こうなれば、このまま上に行って、みなを驚かせてやろう。僕は逆さ浮遊の状態を保ちながら、ふらふらとふわふわと階段を上がって行く。帰り支度をしている人々の賑わいの中へ。


ラベル:職場
posted by 望光憂輔 at 21:47| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ビート社長

 23時にバイト行かなくちゃ。いつものやり方でシャワーを浴びているのにお湯がゆっくりと流れて一粒一粒が止まって見えるようで、風呂場の時計は24時を回っているのだった。慌てて飛び出した弾みで髪の毛が全部抜ける音がした。我を疑ったけど振り返った床の上には、確かに僕の髪の毛がごっそりと抜け落ちていたのだった。鏡に映る僕の頭にはあちこちにねじのような金属が、何だろうかこれは、何だろうか、病院に行かなくちゃと泣いていると、隣でお祖母さんがじっと僕のことを見ていた。僕が何か悪いことをしたような顔をしている。お婆さん後はよろしくねと言って僕は出かけた。電車の中を歩きながら、「僕みたいになりたい人は、24時とお祖母さんを用意してください」と言って回ったけれど、誰も聴く耳を持たないのが不思議だった。
 お父さんがいない。ずっといないのでみんな心配している。警察が靴を脱いで上がり込んできた。「お父さんのお兄さんが、昨日墓参りに来られましたよ」と言う。何でそれで警察が来るんだよ。ねえ、ねえ、何で、みんな、どうした。ひな壇の上のみんなは、みんな黙っている。掃除機を抱えて、僕らは険しい山を登り父を探しに行った。「駄目だ!」と叫びながら、僕の上の隊員が落ちてくる。僕は彼の足首を持って何とか持ちこたえようとしたが、隊員は「駄目だ!」と言いながらだんだん薄くなり、とうとう平面的になって山にくっついてしまった。僕は構わずその上を歩いて、父の救出に向かった。交渉人と同席すると男は僕に銃を手渡した。僕はソファーに座って銃を握り締めた。「構えろ!」僕は言われるままに、前からやってきたビート社長に向けて銃を構えた。ビート社長も銃を持っている。真っ直ぐ僕に向けて構えているのだった。交渉人と社長の話が始まったけれど、僕は震えが止まらない。そして、気がつくと指が引き金を引いていた。銃弾は、ビート社長の頭の少し上に逸れた。話は難航しているようだった。「一発撃ってやろうか!」と社長は言った。やめてくださいと僕が言うと、「おまえさっき撃ったじゃねえか!」と言って僕を睨んだ。会議は、そこで休憩となり、交渉人もビート社長もそれぞれ控え室へ引き上げていった。渡り廊下から、下の庭を眺めると白い犬を連れた少女が見えた。鳥かごを持った老婆がやって来て少女と挨拶を交わし、会話を始めた。やがて、鳥かごを少女に預けて消えた。少女は鳥かごを犬の背中に載せた。鳥は時々、かごの中から頭だけを出して、犬の頭をつついた。白犬の頭はふさふさで面白いのだろうか。間もなくして会議が再開され、再び僕はソファーに座りながらビート社長に向けて銃を構えた。「理想の学校を実現させなければなりません」と交渉人は言った。「おまえらの理想は、俺の理想とはかけ離れている」とビート社長は言った。その後も、理想の学校について会議が続いた。
 警察官が、フェンスの裏から人体を発見したという知らせを持って、少女が白い犬と共に入ってくるのを、僕らはひな壇の上で見た。私は特殊捜査官だと言った。犬の頭は、散々鳥につつかれたためか、黒く汚れていた。ゆっくりと歩いてきて、犬は、ひな壇の一番上に上って伏せた。「けれども、それは平面人間でした」と特殊捜査官は言った。

ラベル:交渉人
posted by 望光憂輔 at 01:45| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。