2011年06月07日

靴滑りの朝

 靴滑りで疾走する僕がいる。朝の道には誰もいない。シャツをまくるとまた食われている。コインが次々と零れる音がして、自販機からあふれ出ているけれど、本当は言葉なのだ。言葉が金属的な響きを立てながら革命を起こしているのだ。年が明けるとはこういうことだった。ムヒはあるのかい。確かにあるのだ。靴滑りで疾走する僕はすっかり今井ビルを通り過ぎてしまって、自転車に傘が突き刺さっているのを見たのだけれど、それは雨が降るという予兆などではなくて、誰かがお祝いの言葉を溜め込んでいる。「オシムが言葉を吐くので、バケツとタオルを用意して」と誰かが言っている。僕は追いかける。カメラを持って新しい朝を目撃するのだ。指をテープで固定するにはテープがどうしても足りなくて、僕は立ち止まって3人の男が流れて働く虫酔いのダンスを見ていた。ああ、やっぱり3人一緒にいるとドリフに見えてしまうなあ。ドリフが雨を降らせてしまう。つくづくと僕は靴滑りで疾走して、水溜りの回収車を追いかけていく。でも、クツワムシだよとタナパンが言った。「クツワの意味しってるの?」勿論僕は知っているよ。知っているから追っているんだもの。うつろいゆくものという意味でしょ。「ならいいんじゃない」タナパンがわけのわからないことを言って老いた木片の中に隠居してしまった。テープは縦にするとあっさりと貼れて、僕は再び靴滑りでメールマガジンと特選フィルムの入り交じったような霧の中を疾走する内に、また食われてしまった。今度は脚も尻も容赦なく奴らは踏みにじった。靴滑りで疾走する僕がこれほど食われているなんて。虹でできた歩道橋の下で僕はパンツを脱いでムヒを塗った。みんなはまだやってこない。

タグ:クツワムシ
posted by 望光憂輔 at 01:53| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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