2011年06月09日

星空

 階段を上って渡り廊下の窓から清々しい風が吹き込んで思わず人が歩いてくるのにも構わずに「風だ!!」と声に出して言ってしまった。迎えの人が来てくれた。遠くに母がいて、近くに父がいて、そしてラモスがいたのだった。ラモスは僕に手を差し出してがっちりと握手をし、父は僕の肩をぽんと叩き、母は遠くにいた。雨が降ったということで、車は置いて、みんなは歩いて迎えに来てくれたのだった。ぱらぱらと少しだけ雨が残る道を、みんなで歩いて帰った。
 雪だ。はらはらと雪が降っている。妹が心配そうに雪を見ている。このまま降り続けると降り積もって明日列車は動かなくなってしまうかもしれないから、早めに発った方がいいかもしれないね。
 体育館の前に一台の車がやってくる。僕は入口の角の暗がりに身を潜めて待っている。真っ先に入っていくことや、入口で堂々と待つことは気恥ずかしくて、ちょっと遅れてやってくるように見せたかったのだが、警官が通りかかって、今にも僕に声をかけそうで、僕は何だかわからなくなって必死に手首足首を回していたけれど、その内大勢が入っていくので、僕もそろそろ体育館の中に入っていくことにしたのだった。靴はロッカーに預けて、鍵はかからなかったけれど、靴くらいだからいいのかと納得して、受付で5000円札を差し出すと妙な間が生まれ、千円札がありましたと言うと、女もいいえ気にせずにと言うのでそのままにしておくことにした。家でゆっくりもしたかったけれど、体育館の光により強く吸い寄せられて僕は来てしまった。子供たちの弾くボールが飛んできて、手を出したけど少し届かずに向こうに流れて行ったから、もうあとは追わないことにして通り過ぎた。少女が熱心に投げやりサーブの練習をしている。一瞬上に投げて、すぐ落ちてくるボールをいつも正確な打点で捉える動作を尊敬を込めて見つめた。子供たちの姿が徐々に減ってゆき、多くの台が空き始め、「まずはラリーから始めましょう」とコーチの声がして、僕はうちわを取りに受付に戻ったのだけれど、弱かったり小さかったりバランスが悪かったり柄が曲がっていたり汚れていたり、適当なのが見つからず、熟考の末に柄は少し短すぎるけど面の大きなうちわを選んだ。今度は西側からコートへ戻ろうと通路を歩いて行くと、天井に円形の空洞がありその遥か上空には水槽に戯れる小魚のように無数の星々が光を帯びて貼り付いているのだった。「どうして星が?」この時代に星が見えるなんて。「本物ですか?」勿論本物だと館長は答えた。望遠鏡の力だと言う。


ラベル:星空
posted by 望光憂輔 at 00:28| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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