2011年10月20日

耳飾り

 たくさんのお菓子を抱えているはずだった。恐ろしい時間が過ぎて、誰かが大声で僕を起こした時、すべての賞味期限は切れてしまっていた。僕が舞台に上がるという約束だったのに、僕が眠ってしまったのをいいことに上がらないと言っていた猿が上がってしまった。あれほど上がらないと言っていたのに、これで良くない前例ができてしまい、これからは彼も積極的に上がることを主張することになってしまうのかもしれなかった。親戚を始めとして多くの訪問者が、家の中に上がり込み、空気を汚していた。僕は逃げ出すようにトイレに駆け込んだ。
 ドアを開けると、兄と海叔父さんがトイレの中に身を寄せて潜んでいた。彼らにしても、居場所を確保できていないようで、いったい誰のための式典なのだろう。ここは僕らの家ではなかっただろうか。僕の格好がいけないというのか、歩くたびにみんなは白い目で僕を見ている。飾り付けの青紙を丸めて、僕はそれを耳飾りにでもしてみることにした。誰か一人でも微笑んでくれればそれでよかった。奇抜なファッションで、この淀み切った空気を晴らそう。僕は一筋の希望を抱いて、耳に青を当てた。けれども、誰も笑わなかった。何も変わらない。

posted by 望光憂輔 at 00:50| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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