2011年10月21日

シャンプー

 中の様子を見てから再び番台に戻ると今度は人がいた。「上がったらぱーっと○○してね」と言うので僕は聞き返した。「上がったらぱーっと○○してね」と言って、やはり最後のところがわからなかったが、わかったと言ってしまった。しばらくしても、答えは出なかった。石鹸シャンプーセットは500円とあったが、鞄の中には旅行用シャンプー3点セットがあったので僕は安心して奥へと進んだ。コイン投入口のところに240円と書いてあるが、使用後にお金は戻ってこないのだろうか? もしそうなら240円という設定はおかしな気がした。「貯金ができます」という貼り紙に気がついた。毎日コツコツと貯めていくことができます、と。ロッカーに荷物を入れながら貯金をするとはいったいどういうことだろうか。それにしてもロッカーはいっぱいで一つも空いてないのだった。襖を開けて、次の脱衣場に行くとそこは大広間で複数の人が柔軟体操をしている最中だった。脱衣場は階層状になって幾部屋にも渡ってつながっている。襖を開けて、次の脱衣場に行くと薄暗い部屋の片隅で男が一人着替えをしている最中だった。ロッカーに近づいて見てみると今度はコイン式ではなく、ただ南京錠で留める方式だった。そしてそれはダイヤル式の南京錠なのだった。4桁の暗証番号はどこで決まるのかがわからなかった。よく見ると南京錠は錆びつきが激しく、埃を被っている。それはどの南京錠もそうなのだった。ついに僕はロッカーを使うことはあきらめて、大部屋に戻り適当に服を籠の中に脱いだ。底の方に財布を置き上からなるべく乱雑な雰囲気でシャツを置いた。シロが穴に埋めた骨の上に、土をかけて隠している時のようだった。その時、僕はシロの様子を少し離れたところからじっと見つめていたのだった。
 髪をシャンプーすると僕はすぐにジャージを履いていた。タイルの上でばったりと先生に会った。「久しぶりだったんで慣れてなくて」ジャージを履いていることを弁解しようとして、おかしなことを言ってしまった。たいやきを食べながら、先生は笑った。僕もたいやきが食べたくなって、ポケットの中に手を入れてみたが、一枚の硬貨もなかったのであきらめた。よく光る魚が走る水槽の上にシャンプーセットを置いて、壁に描かれた恐竜の頭を見上げていると、湯船から水の弾ける音が聞こえてきた。

posted by 望光憂輔 at 01:28| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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