2011年11月17日

乗り継ぎ

「乗車率は300%を超え通路からは苦情と友情の入り交じった特殊な空気が発生しました」とテレビのアナウンサーが帰省ラッシュの模様を伝えている。「私は、必死で高校生の後ろ髪を掴んでいました」と乗客のインタビューが続く。
 乗り換えのために新しい列車を探した。先頭車両の前側から乗り込むと既につれが一番入口に近い席に座っており、その隣には見知らぬおばさんが座っていた。発車まではまだ少し余裕があり、今ならまだ別の選択に切り換えることもできた。向こうの列車は……。「あれは回送車よ」とおばさんが答えた瞬間、電車の中の照明が消えてしまった。その向こうの列車は……。「あれは博多行きよ」すると逆戻りしてしまう。この列車で行くことを僕は第一候補とすることを考え始めた。運転手の隣の席が空いていた。できればつれの隣に座りたくて、「一つずれてもらっていいですか?」とおばさんに持ちかけたが、「私はここが気に入っているのよ」と冷たい。この列車に乗ると到着は何時になるだろう。「東京着は19時よ」とおばさんは答え、僕は逃げ出したくなってしまう。降りようとして、一歩歩き出すと入口のところで髪の長い少女が横たわっていた。声をかけて越えて行くことができず、僕は戻って運転手の隣に座った。眠っていればすぐだ……。「どうせ早く着いても何もないしね」とおばさんは言った。

posted by 望光憂輔 at 00:38| 夢まち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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