2010年08月04日

ものを書くもの

「じいちゃんどうしたの?」
 じいちゃんは、どうもしないよと言った。
 寝転がっているじいちゃんの顔を、ユウちゃんは深く覗き込む。
「蜘蛛の巣が張ってるよ」
 じいちゃんの鼻の穴に、蜘蛛の巣を発見した。

「これは鉛筆。ものを書くものです!」
 ユウちゃんは、鉛筆を掲げて明確に定義付けた。
「ちくわ描いて」
 じいちゃんは、白い紙にちくわの絵を描いた。
「ちくわの名前書いて」
 じいちゃんは、ちくわの絵の横にちくわと書いた。
「サンドイッチ描いて」
 じいちゃんは、ちくわの横にサンドイッチを描いた。
「サンドイッチの名前書いて」
 じいちゃんは、サンドイッチの横にサンドイッチと書いた。
 ユウちゃんのリクエストは、食べ物が多かった。
「おにぎり描いて」
 じいちゃんは、サンドイッチの横におにぎりを描いた。

「タコさんは、どこに行った?」
 お祖母さんが訊いた。
 タコさん??
「タコさんは、ユウちゃんのお母さんです!」
 ユウちゃんは、タコさんを明確に定義付けた。


posted by 望光憂輔 at 11:38| いとくるしい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月03日

虫歯虫

 うたた寝していると、ユウちゃんがやってきて、「どうしたの?」。
「どうもしないよ」
「ユウちゃんも、どうもしないよ!」
 それからユウちゃんは、テレビの前で踊り始めた。ぴょんぴょんと跳ねる不思議な踊りだ。それから不思議な言葉が出てくる不思議な歌も歌った。ユウちゃんは、歌も踊りもとても得意だ。
「あれは、誰?」
 テレビの中には、僕の知らない人。
「知らない人」
「知らない人! あれは知らない人」

 そうよ♪ 母さんがながいのよ♪

 ユウちゃんが歌っていると、タコお母さんがやって来て歯磨きを迫った。けれども、なかなか動かない。

「虫歯虫が来るよ!」
 虫歯虫を恐れてようやくユウちゃんは、踊りをやめてお母さんの方へ向かう。

「おいで!」と叫びながら、タコお母さんに抱きついた。

posted by 望光憂輔 at 22:25| いとくるしい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月02日

救出ゲーム

 肩たたきは投げては駄目よ。お祖母さんは言ったけれど、勿論ユウちゃんはわかっているのだ。何を投げるべきか何を投げないべきかはわかっているので、肩たたきはあっさりと手放してテニスボールを投げるのだった。投げたボールは僕がキャッチして投げ返す。すると今度は、僕がキャッチできないところに向けて投げる。僕は横っ飛びをしてキャッチしようとするがやはり取れなくて、拾いに行くのだった。そしてボールは時々行方不明になった。

「どこ行った?」

 机の下や、カーテンの向こう側、本と本の隙間などややこしいところに迷い込んだ時、ユウちゃんはすぐに捜索願いを出すのだった。今度は最もややこしい場所、ピアノと扉の間に入ってしまった。手を伸ばしても取れないところだったので、僕は肩たたきを使ってそれを救出した。ユウちゃんは興味深そうに肩たたきを見ていた。
 それから、ユウちゃんはわざと取れない場所を狙ってボールを投げた。そして、肩たたきを使ってボールを救出することを楽しんだ。少しもどかしい、新しい遊びを覚えたようだった。それでも加減を間違えて、どうしても届かない場所に行ってしまうとユウちゃんは救出活動をあきらめ、僕を呼んだ。

「おじちゃん、取って!」

posted by 望光憂輔 at 16:58| いとくるしい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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