2010年08月01日

ぶどう畑

 お手玉は投げられるのではなく、叩かれて餃子にされたのだった。けれども、何度も何度も叩かれて餃子の皮は消耗してしまったのだった。そして、ついにある時破裂して中からは小さな石が出てきたのだった。

「小さなぶどうみたいだね」
 と言ってユウちゃんは、僕の手の中に小石を注いだ。入りきれずに溢れた。

「投げよう!」
 と言ってユウちゃんは、ついに投げ始めた。僕も一緒になって投げた。窓に向けて、椅子に向けて、壁に向けて、カーテンに向けて、天井に向けて、何もないところに向けて、次々に投げた。小さなぶどうが散乱したそこはもう立派なぶどう畑となった。
 タコお母さんがやってきて、まあなんですかと言った。
 それからユウちゃんと僕は畑を回って一つ一つぶどうを回収してゴミ箱に捨てた。

posted by 望光憂輔 at 19:09| いとくるしい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月31日

餃子

 お祖母さんがこんなものがあったとお手玉を持ってきたけれど、ユウちゃんはそれは投げずに、餃子を作り始めるのだった。ピアノの上にお手玉を持っていってパンパンと叩くと、餃子ができあがり、ユウちゃんは僕たちのいるテーブルまで運んでくれる。

「はい、餃子ができました。食べてください」
 数秒で食べ終えると、またピアノの上に持って行き手早く餃子を作って戻ってくる。
「お茶入れます」
 接客中なので、ユウちゃんは敬語になる。
「餃子になります。お食べください」
「ありがとう。いただきます」
 食べ終えると、またピアノの上に戻って行きまたすぐに餃子を作って持ってくる。そんなことが何度も続き、まるで餃子の大食い大会をしているようだが、胃袋は満ちることなく、それはユウちゃんが飽きるまで続くのだった。

「はい、じいちゃんの好きな餃子です」
「ありがとう」
 と言って、じいちゃんも食べた。
 際限なく続くかと思われたそれは突如終わった。材料が尽きたのだろうか。

posted by 望光憂輔 at 13:24| いとくるしい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月30日

絆創膏

 お祖母さんがどこからかこれはいいと言って出してきたので、ユウちゃんはどんどんピンポン玉を投げた。ピンポン玉は部屋中を跳ね回って賑やかに音を立てた。それはユウちゃんの足元にもまとわりついて、とうとうユウちゃんは踏んでしまったのだった。

「血が出た?」みんなが駆け寄って心配した。
「出た」と言った。
 お祖母さんが絆創膏を持ってきた。
 僕はユウちゃんの足の裏を見たけれど、赤いものはどこにも見えなかった。

「絆創膏貼って!」

「ここ?」
 何もない場所に、僕は絆創膏を貼った。
 ユウちゃんは、安心してピンポン玉を投げ始めた。


posted by 望光憂輔 at 19:53| いとくるしい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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