2010年09月18日

休館日

 図書館は火曜日は休館日だった。その隣の喫茶店も一緒になって休んでいる。きっとよい友達なのだ。仕方なく、僕は風のレストランへ向かうことにした。コーヒーくらいはあったはずだ。
 芝を横切り歩いていると三羽烏に遭遇した。

「おまえは向こうから捜せ!」

「俺はこっちから捜すぞ!」
 それぞれ三手に分かれて、ダイア入りピアスを捜すのだと言う。
 三角形内に立ち入らないように少し遠回りして、僕は目的地を目指した。

「あったか?」

「それはチーズ入りオムレツだぞ!」

posted by 望光憂輔 at 19:06| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10人のお婆さん

 母が戻ってきた。
 たくさん人が入っていたと言う。
「みんなお婆さん」
 母が言った。

「寝てればいい」
 母は言うが、昼寝の時間は終わりだった。
 小さな頃は、母のポケットの中で生きていることができたし、世界で最も落ち着く場所だったけれど、大きくなった今ではずっと隣に座っていることさえできなくなっているのだった。自分の大きさと母の小ささに戸惑いすぐに耐えられなくなるからだった。
 僕は図書館へ出かけることにした。

posted by 望光憂輔 at 18:12| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

宇宙人間

 父は、薄目を開けてじっと見つめている。何か言いたいのだろうか。伝えたいのに伝えられないとしたら寂しい。聴けないことも寂しいが
伝えられないのも寂しいだろうな。宇宙人だったら目と目で会話ができるかもしれないのに、人間は無力だ。
 母は銭湯に出かけて行った。

「向きを変えます」
 看護師さんが、向きを変えてくれる。
 それ以来、父はあっちを向いてしまった。
 日本人らしく靴を脱ごう。隣のベッドで昼寝をしよう。ベッドはいいものだ。脚を伸ばして眠ることができる。
 父の言葉を期待しないようになってから、拠り所は目の方へ移っていった。目を開く瞬間のことを、大きく受け止めるようになっていた。


posted by 望光憂輔 at 17:14| ソロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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